医療占星術(Medical Astrology)とは、占星術の見地から、個人の「病気になりやすい傾向」を予見し、未然に予防したり、もっとも適した治療を読み取る技術です。

私たちは古来より、天体の運行を観察し、地上で起きるさまざまな現象を記録してきました。占星術と天文学はもともとは同じ学問だったのです。

医学の父ヒポクラテスは、自分の生徒に占星術を勉強するように薦めていたと言われています。アラブ人の卓越した医師イブン・スィーナーも占星術に精通していたことは有名です。

ヒポクラテス
ヒポクラテス

イブン・スィーナー
イブン・スィーナー

ルネサンス期の特異な医師であり錬金術師のパラケルススも、「地上の病は天体が深く関与している」と考えていました。特に伝染病については、天体が地球および人類に与える影響を述べています。例えば、梅毒の原因としては、「楽しいことや異性を象徴する金星が、人間の性欲に悪い形で影響を及ぼした結果」と考えました。現在では、梅毒は細菌が原因の感染症であることがわかり、治療には抗生物質が使われていますので、原因については金星が関与しているとは言えないかも知れません。しかし、梅毒そのものが性行為によって感染するケースが多いことに焦点を当てれば、金星の影響が意味のあるものと考えることができます。

パラケルスス
パラケルスス

占星術は、天体が、地球やそこに生活する人間にどのような影響を与えるかを考える学問です。従って、個人の病気のみならず、感染症のような多くの人に影響を及ぼす現象についても天体との関わりが読み解けます。このように、古代から医療と占星術の結びつきはとても深いのです。

現代でも、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、通常の問診と現代西洋医学的な診断のほかに、占星術師が出世図や手相から判断した結果を合わせて治療方針を打ち出します。クライアントの肉体的または精神的に弱い部分、適切な治療法を占星術から診断する理由は、「問診にしても診断にしても、人間の行為には誤診がつきものであるため、客観的、統計学的な診断は絶対に必要」ということです。

ドイツやフランスのナチュロパシー(自然療法)でも、診断の補助として占星術を使っている人は多いです。その大まかなポイントは次の3つです。

(1)天体:体の機能や働き
(2)サイン:体の部位
(3)天体のアスペクト:負担やストレスのかかりやすいところ

この(1)(2)(3)の要素を使って、負担のある身体の部位や症状、心理状態などを読み取っていきます。もちろん、医学や占星術の十分な知識がないと正しい判断はできません。

下の写真は、(2)の「サイン:体の部位」を表わしたものです。
占星術

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【参考文献】

romatopia

フレグランスジャーナル社 aromatopia No.73(2005) p.67-72より