クローバー

エドワード・バッチ博士は、そのとき、ある奇妙な発見をしました。彼は、その7種類の病原性細菌を体内に持つ患者には、それぞれ性格や気質に特有の変化が観察されることに気づいたのです。そこで、バッチ博士は、その7種類の病原性細菌を、異なる7種類のパーソナリティに関係づけることができるのではないかと考えました。

その洞察に基づいて、バッチ博士は、ノソードによる患者の治療を開始しました。彼は、それぞれの患者の感情的な起伏の特徴に応じて、厳密にノソードを決定していったのです。その際、患者の身体的な面は敢えて診ずに、患者の精神的な症状だけを観察し、個々の症状に合うノソードを割り当てていきました。バッチ博士はこの方法を使い、臨床面で予想を上回る成功をおさめました。

このような実験的試みとパーソナリティ・タイプの検討を詳細に行った結果、バッチ博士は、さらに深遠な考察を得るに至りました。それは、同じパーソナリティ・グループに属する人が必ずしも同じ病気にかかっているわけではなく、むしろ、どんな種類の病原菌を持っていても、同じパーソナリティ・グループに属する人は、自分の病気に対す「反応の仕方が共通している、つまり、どのような病気であれ、行動・気分・感じ方の点で共通の反応を示すという考察でした。そうすると、慢性疾患の治療にあたって最適の薬物を決定するには、患者の知的特徴と情動的特徴を分類しさえすればよいということになります。

バッチ博士が直観的にわかったのは、その人のかかりやすい病気の傾向は、情動やパーソナリティの因子が決定しているということでした。そうした因子のうちで、もっとも大きな影響を持つのは、「恐怖」や「否定的態度」といった感情的な傾向でした。

現代医学が病気と感情の関係を取り挙げはじめたのはつい最近のことです。最近の精神神経免疫学的な研究結果に半世紀以上もさきがけて、バッチ博士は同様の結論を出していたのです。(リチャード・ガーバー著「バイブレーショナル・メディスン」p.296-297より)


【参考文献】