エドワード・バッチ博士は、ホメオパシー医に転身する前、細菌感染症の専門医として、ロンドン市内の大病院に勤務していました。当時の業績のひとつに、慢性病患者の消化管における特定の細菌の発見があります。バッチ博士は、消化管に多くの細菌が常在していることと、関節炎やリウマチなどの進行した慢性疾患がなかなか軽快しないこととの関連性に気づきました。そして、それらの細菌がリウマチ系疾患を悪化させているとしたら、免疫系を賦活して微生物を排除することによって症状が和らぐかも知れないと考えました。そして、消化管内の細菌から作ったワクチンが、慢性疾患の原因となっている細菌の毒素に対して消毒作用を持つのではないかと推測し、その仮説にもとづいて、症状悪化の原因と思われる腸内細菌から作ったワクチンの希釈液を作成しました。そしてそれをさまざまな疾患の患者に注射してみた結果、関節炎を中心とする慢性症状に著しい改善がもたらされました。

この発見からまもなく、バッチ博士は、ある人物から、『医学原論』(The Organon of Medicine)という本を譲り受けました。その本こそが、サミュエル・ハーネマン(Christian Friedrich Samuel Hahnemann,1755-1843)の著したホメオパシーの論文でした。

Samuel_Hahnemann_1841

The_Organon_of_Medicine

エドワード・バッチ博士はサミュエル・ハーネマンのホメオパシー医学の思想に深く共鳴しました。病気を治すために微量の毒素を患者に投与するというバッチ博士の考え方は、ハーネマンのホメオパシー理論と同じものだったのです。バッチ博士は独学による試行錯誤の結果、ハーネマンと同じ結論に到達していたのです。(リチャード・ガーバー著「バイブレーショナル・メディスン」p.295-296より)


【参考文献】